「トリプルギター×男女ツインボーカル」という昨今のバンドシーンではなかなか見られない編成が特徴の『Hello sleepwalkers』。1年半ぶりの新作「Planless Perfection」もバラエティに富む楽曲が収録され、彼らにしか出来ない・鳴らせないサウンドとなっている。このバンドとしての懐の深さ、ジャンルレスに横断出来る楽曲の強さの源を探るべく5人5色のROOTSの数々をインタビューしてみた。
シュンタロウ’s Select
ポケットモンスター
初めて音楽に触れたのは小学生の頃。
当時周囲の流行といえば「THE KING OF FIGHTERS’97」や「鉄拳2」などのアーケードゲーム。僕も例に漏れず、常連プレイヤーの手元から隠しキャラの出現コマンドを盗むためにゲーセンに入り浸る毎日でした。
そんな中突如ポケモンブームが到来し、ポケモンの名前を全部言えるヤツはカッコいいという謎の風潮が生まれます。
音楽には全く興味なかった僕でしたが、父親にねだりまくり、一生のお願いまで使い、初代ポケットモンスターの8センチCD「めざせポケモンマスター/ひゃくごじゅういち」を手に入れました。
そして他の友達よりも先にポケモンを全部覚えてやろうと「ポケモンいえるかな?」を練習しまくっていたのです。
この曲はキー/リズムチェンジ、歌詞の配置に趣向を凝らしていて、なるほどとてもアバンギャルドだ!なんて思うことは一切なく、僕は晴れてポケモンマスターになったのでした。
ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ ダイジェスト映像
Marilyn Manson & Slipknot
その後父親の転勤で引っ越すことになり、小学校高学年になった僕は三女の姉と同じ部屋で生活していました。
毎朝の目覚ましは姉のコンポから流れる「Marilyn Manson」や「Slipknot」や「KORN」で、運が良ければ「NSYNC」や「Weezer」 という具合でした。
ポケモンの音楽しか通ってきていない僕からすれば苦痛でしたが、姉に対して「うるさい」なんて言えるわけもなく毎朝デスボイスで目覚めていました。
しかし喉元過ぎればなんとやらとは良く言ったもので、毎日曲を聴き覚えるようになってくると、僕は徐々に「うるさい音楽」のカッコよさに気付き始めます。「Slipknot」の曲に合わせてイスの背を箸で叩くという行為にハマり、ついには枕や布団をハイハットやスネアの代わりにし、色んな曲を叩きまくる日々を送っていました。
The Beautiful People / Marilyn Manson
(Sic) / Slipknot
Hi-STANDARD & Blink182 & Red Hot Chili Peppers
「Marilyn Manson」のコピーバンドを組んでいた高校生の姉に「バンド辞めるから、このベースを買え」と脅迫され、やたらと尖ったベースを強制的に押し付けられたことにより僕の楽器人生が始まりました。
姉から「Hi-STANDARD」のバンドスコアを借り、音を鳴らしているだけですぐにベースの魅力に取り憑かれました。
当時やっていたサッカー部も「ベースが弾きたい」という理由で辞めてしまうほど熱中しました。そこから「Blink182」「MxPx」「Red Hot Chili Peppers」「Mr.Big」など色んなバンドをコピーし始めました。
枕や雑誌を叩いた音をカセットテープに録音し、その音をスピーカーで流しながら重ね録りするというアナログな作曲もこの頃から始めました。音楽を作るという好奇心が芽生えたのはこの頃で、今もここが原点だと思っています。
Stay Gold / Hi-STANDARD
First Date / Blink182
Give It Away / Red Hot Chili Peppers
ナルミ’s Select
椎名林檎
中学の同級生に教えてもらったのが聞き始めたきっかけでした。「勝訴ストリップ」というアルバムをその時に初めて聞いて、衝撃を受けました。
林檎さんの多種多様な声。セクシーさ、可愛さ、尖った声も丸みを帯びた声も、そのアルバムには色々な声が散りばめられていてました。歌詞も独特で林檎さんにしか書けないような言葉の羅列で、その歌詞に合うそれぞれの声で歌いこなしているのが、衝撃でした。
このアルバムの更に凄いところは、曲順がシンメトリーに並んでいて、合計時間も55分55秒という点です。今、楽曲を作る側になってみて分かることは、これは最初から考えていても形にすることは結構難しいと思うんです。それを形にしてしまう…もう尊敬しかないです。
その時はピアノを習っているくらいで、ギターも弾いたことなかった私ですが、初めてギターを持って歌ってみたいな。って思わせてもらった人で、その当時の楽曲も最近の新しい楽曲も全部大好きです。
ギブス / 椎名林檎
LOVE PSYCHEDELICO
高校生になって、アコースティックギターを弾き始めて初めてコピーしたのがLOVE PSYCHEDELICOさんの「Your Song」でした。
初めてのギターで全然コードも分からない私に最初はどういう曲が出来るのか。
曲選びに迷っていた時に顧問の先生にオススメして貰いました。今思えばただ単に先生の趣味だったのかもしれませんが…(笑)
聞いた時にすっと耳に馴染んで、家に帰って母に聞かせたら母がよく聞いてた曲でした。知らず知らずの内に体に染み込んでいたのか、コードとか覚えるのは本当に難しかったけど一瞬でギターに夢中になって、朝から晩までずーっと弾いてた曲でした。
この曲以外にもたくさん聞いてコピーしていたので、私にとってはまるで音楽の先生のようなアーティストさんです。
Your Song / LOVE PSYCHEDELICO
アルカラ
CDショップで「フィクションを科学する」という3枚目のアルバムを視聴して、1枚目と2枚目のアルバムも一気に買い漁りました。
声も曲もすっごいツボで。いつかライブ見てみたい…ってCDを聞いて思ってました。
その時はまだ地元の沖縄に住んでいて、県外に行く機会もなくてライブを見れたのは結構経ってからでした。私たちがデビューして、ライブを見る機会があって、その時は本当に衝撃を受けました。
気付けば、出演者の私までノリノリで楽しんでました。
終わった後、お客さんから楽しかった~という声がいっぱい聞こえる。ライブって楽しかったって言って貰えるのがやっぱり一番嬉しいよなぁ、一緒になって楽しめるライブ出来るバンドになりたいな。って思わせてもらいました。
今でもイベントとかで一緒になるとお客さん側に回って見ちゃうくらい大好きなバンドさんです。
キャッチーを科学する / アルカラ
タソコ’s Select
Periphery
Djent(ジェント)メタルとマスメタルを合わせたバンドサウンドにボーカルのハイトーンとグロウルが合わさる楽曲がこのバンドの持ち味で、重いギターリフが程よく処理されて聴いてて気持ち良いです。とにかくサウンドがクリア。
上京する前に沖縄でどハマりした、そしてギターの奏法含め音楽的にかなり影響を受けたバンドです。
特にギターの奏法はヘヴィなだけでなく、パワーコードを弾いた直後に高音弦でスライドしたりと繊細で縦横無尽な運指をするので、コピーするのは一筋縄ではいきませんでした。おまけに変拍子も絡むので弾いてて頭も使います。
ちなみに”Djent”とは、ドロップチューニングしたギターでブリッジミュートした際に「ジェン!ジェン!」と鳴る音を表現した言葉で、Peripheryのギターでありバンドの中枢であるMisha Mansoorが名付け親です。あ、あとPVが全体的にめっちゃダサくて良いです。
Make Total Destroy / Periphery
Deftones
僕が小6の頃に兄が聴いてた「Around the Fur(2ndアルバム)」を横で聴いて、そこから今でもずっと聴き続けてるバンドです。
アメリカのバンドにしては珍しい?どこか懐かしさや広がりのある、まさにオルタナティブロックの大御所ですね。
初期の頃はKoRNやLimp Bizkitなど、90年代当時のニューウェーブ感満載のミクスチャーでかなり衝動的な曲ばかりでしたが、2ndからバンドの音を掘り下げてメロウな匂いを醸し出すようになり、3rdで今のスタイルを確立する名盤を出してます。
特に3rdは、レンタルショップで借りて家で聴いてる時に脳汁がドバドバ出てましたね。 重厚感のあるギターとドッシリしたリズムにボーカルの伸びやかでムーディーなメロディーが特徴的で、その独自性は今も色褪せず毎度毎度アルバムを出すたびにワクワクします。
Swerve City / Deftones
Slipknot
「これがダウンチューニングだよオラ!!」と僕に教えてくれたミクスチャーバンド。
高校生の頃に友達が何故かアルバムではなく先にライブ盤の「9.0: Live」を貸してくれて、そこからどんどんハマって高校3年間でずっとSlipknotを聴いてました。
ギター、ベース、ドラム以外にパーカッションがいるのが衝撃で、「え?パーカッションだけって必要なの?」と当時は思いましたよ。
パーカッションがバンドの音を分厚くしてアグレッシブになってるんですよね。
元々キャッチーなメロディーも使うSlipknotは3rdで今までの作風より少し落ち着いて、代わりに歌を意識したり変拍子で今までと違ったカオスな空気を作ったりで、より旨味が詰まってて、特に「変拍子」の存在を僕はこのアルバムで知りました。
初期の激しさを残しつつも他のアプローチを取り入れるこのバンドの実験精神に僕は長年取り憑かれてますね。
Before I Forget / Slipknot
マコト’s Select
ASIAN KUNG-FU GENERATION
初めて聴いたのは15.6才の頃で、友達からこれ聴いてみてよと勧められてでした。
それまでは音楽を殆ど聴いていなくて、ドラマの主題歌やゲームのBGMを薄らと覚えている、という感じで。
その衝動の塊のような音に感動して、そこから色んな音楽を聴くようになりました。
楽器を始めるきっかけのひとつにもなっていると思います。
未来の破片 / ASIAN KUNG-FU GENERATION
BOOM BOOM SATELLITES
かっこいい。
音もフレーズも声も映像もスタイルもとにかく全部かっこいいのです。
重たくもキレのあるリフや広がりのある電子音などはもはやバンドの完成形の一つとすら思っています。
憧れが高じて、真似をしてスタインバーガーのベースを買ったりしました。そのベースを持ってメジャーデビューしちゃいました。
いつかフライングVも買ってやろうと思っています。
KICK IT OUT / BOOM BOOM SATELLITES
THE BACK HORN
これまたかっこいい。
高校時代からの憧れです。何曲もコピーしました。今でもリハのサウンドチェックの時などに弾いたりします。
どの曲も弾いていて楽しいので、ベースの練習がしたい方にもオススメです。
生々しい攻撃的な曲も悲しげな綺麗な曲も、どれも弱い人を鼓舞するような、そういう優しさがあって好きです。
人生の辛い時期にこそ聴いて欲しいバンドです。
罠 / THE BACK HORN
ユウキ’s Select
ONE OK ROCK
Hello Sleepwalkersを組んでからロックバンドを見るようになって最初に見たのが『ONE OK ROCK』さんです。
ドラマーのTomoyaさんは特に影響を受けました、少しリズムが狂った方が良かったりする場合ありますが、Tomoyaさんは凄くタイトでタイム感が完璧でどっしりしていて僕のロックのイメージがその時に凄く変わりました。
皆かっこ良くて尊敬するバンドです。
Liar / ONE OK ROCK
Dave Weckl and Chris Coleman
影響を受けたドラマーDave WecklとChris Colemanの2人が共演している映像。
Dave Wecklは小さい頃から好きなドラマーでずっと影響を受けてきたドラマーです。
Chris Colemanは最近好きになってこの映像をきっかけにヤバイ人がいると思ってテクニックなどを繰り返し見てました。
ジャズやフュージョン系のドラマーは凄く影響を受けました。
Higher Ground / Dave Weckl and Jay Oliver
劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲
ミュウツーの逆襲。その時幼いながら映画館で凄く悲しくなった記憶があります。
今でもたまに見たりしますが命について考えさせられる感動する映画です。
ポケモンはゲームの方もずっとやってたり、グッズも集めてたりしていてドラムと一緒で僕にとってずっと楽しめるカルチャーかもしれません。
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5人のルーツを探ってみると、全然違った道を通って集まったバンドなんだと改めて実感しました。
でも新しいものへの強い好奇心を持っていることや、常に音楽の隣で生活してきたことは共通しているし、それが今の『Hello Sepwalkers』の音楽性に繋がっているんだと思います。
これからもバンドが持っている可能性を追求して、自由に音楽をやっていくつもりです。1人でも多くの人と音を楽しめたら嬉しいです。
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Hello sleepwalkers
男女ツインボーカル、トリプルギター。音楽への無尽蔵の探究心を秘めた5ピースバンド。
2014年、シングル「午夜の待ち合わせ」がスマッシュヒット。
Hard-Fiリチャード・アーチャーとの共同プロデュースによる2作品をリリース。
2015年実験的ワンマンツアー「Quintet Laboratory」を実施し、その無軌道を描く実験の成果となる”設計図の無い完成形”を、1年半ぶりの新作「Planless Perfection」として3月に発表。5月からは初の全国ワンマンツアー実施する。
神話崩壊 / Hello Sleepwalkers
夜明け / Hello Sleepwalkers
「Planless Perfection」Trailer / Hello Sleepwalkers
Release Information
◆New Album「Planless Perfection」
・2016.03.23 Release
Hello Sleepwalkers 1年半振りの新作。
共同プロデューサーにColin Brittain(USA)を迎え、無尽蔵の探求心と無軌道な実験の末に生み出された、「設計図の無い完成形」。
Full Album ”Planless Perfection”完成。
◆収録楽曲
01. レトリック
02. 水面
03. EYES TO THE SKIES
04. 神話崩壊
05. LIFE is a GAME??
06. ハーメルンはどのようにして笛を吹くのか
07. 夜明け
08. Stand-alone
09. Jamming
10. 2XXX
11. Perfect Planner
Live Schedule
◆「Hello Sleepwalkers 2016 “Planless Perfection”」
・05/21(SAT) 広島 CAVE-BE
・05/22(SUN) 福岡 DRUM SON
・06/04(SAT) 北海道・札幌 COLONY
・06/05(SUN) 宮城・仙台 MA.CA.NA
・06/11(SAT) 新潟 CLUB RIVERST
・06/18(SAT) 大阪・梅田 CLUB QUATTRO
・06/19(SUN) 愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
・06/25(SAT) 東京・赤坂 BLITZ
Official Media
Official Site:http://www.hellosleepwalkers.com/
Official Twitter:https://twitter.com/HSW_japan
Official Facebook:https://www.facebook.com/hellosleepwalkersmusic/
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