どこかで耳にしたことがある? 映画のエンディングテーマで耳にする『LANA DEL REY / ラナ・デル・レイ』を聴く

美くしい容姿と、ハスキーな歌声、妖艶な雰囲気で人々を魅了するアメリカの歌姫「LANA DEL REY /ラナ・デル・レイ」。
近年、彼女の曲が次々と映画のエンディングテーマで使用されている。今回は、その中でもメジャーな4曲を紹介すると共に、使用された作品を紹介する。
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出典:lanadelrey.com/

「LANA DEL REY / ラナ・デル・レイ」とは何者なのか?

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出典:lanadelrey.com/

「映画と音楽と人生が、1つに融合しつつあるのよ。死は芸術だわ。私達はポップ・ミュージックを使い果たしてしまった。そういった健全な夢は死んでしまったのよ。」

「LANA DEL REY / ラナ・デル・レイ」は、本名「Elizabeth Woolridge Grant / エリザベス・ウールリッジ・グラント」は1985年にアメリカのニューヨークで生まれた。
自らを「ギャング界のナンシー・シナトラ」と称す彼女は、コネティカット州の寄宿学校から19歳でニューヨークへ渡り、ウィリアムズバーグの店のオープンマイクで、音楽界へ足を踏み入れた。
音楽的には、ニルヴァーナのカート・コバーンからインスピレーションをかなり受けており、視覚的にも映画監督デヴィッド・リンチの作品や、50年代のモノクロ映画のサントラ、コニーアイランドの観覧車が立てる音など、直接影響を受けてきた。

Born to Die / 「Mommy / マミー」(2014)

2014年に公開され、カナダのアカデミー賞を9冠。若き天才、グザヴィエ・ドランの監督最新作品。

作品の舞台は2015年の架空のカナダ。多動性障害の息子とシングルマザーの、愛や苦悩を描きながら、引っ越し先の隣人女性と三人の力を合わせて、試練を乗り越えようとする。
また、母と息子の血の繋がりの強さ、母の強さ、愛だけじゃどうにもならない世の中を改めて感嘆させられる作品。

日本版の宣伝キャッチコピーは「愛と希望、どちらを捨てるか」。劇中で使用されるサウンドトラックも監督のこだわりだ。

Born to die / LANA DEL REY

「Born to die」はエンディングのクレジットで使用される。歌詞が字幕で表示され、その歌詞の意味と作品のことを考えると、何とも言えない余韻を、一層長く浸らせてくれる。

So choose your last words,
This is the last time
Cause you and I,
We were born to die

死ぬ前に言い残したいことはある?あったら考えておいて
これが最後と思って
だって2人とも
生まれたからにはいつか死ぬんだから

Born to die / LANA DEL REY

Young and Beautiful / 「The Great Gatsby / 華麗なるギャツビー」(2013)

1974年に、フランシス・フォード・コッポラ脚本、ロバート・レッドフォード主演で制作公開された作品を、2013年にバズ・ラーマン監督、レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ロミオ&ジュリエット」コンビで再映画化。

F・スコット・フィッツジェラルドの小説が原作のこの物語は、毎晩盛大なパーティーを開く、ジェイ・ギャツビーとはいったい何者か探っていくものである。
作中で使用される衣装やジュエリーでも注目を浴び、第86回アカデミー賞では衣装デザイン賞と美術賞を受賞。衣装は、プラダ・ミュウミュウ・ブルックスブラザーズなど、ジュエリーはティファニーが協力している。

Young and Beautiful / LANA DEL REY

キャリー・マリガン演じるデイジー・ブキャナンとギャツビーの、かつての愛をもう一度確かめるように過ごす時間で「Young and Beautiful」が響く。
盛大なパーティーの華やかさと、二人だけの時間の純粋な美しさを、彼女の声が包み込む。

Dear lord, when I get to heaven
Please let me bring my man
When he comes tell me that you’ll let him
Father tell me if you can

神様どうかお願いです
天国に召される時は
あの人も一緒にお願いします
あの人が来たら
一緒に天国に迎えてください
神様,構わないでしょう?

Young and Beautiful / LANA DEL REY

Once Upon A Dream /「Maleficent / マレフィセント」(2014)

ディズニーアニメーションの名作「眠れる森の美女」の悪役マレフィセントにフォーカスを当てた作品。ディズニー作品で初めて悪役が主人公となる作品である。演じるのはアンジェリーナ・ジョリー。童話「眠れる森の美女」をベースにしたストーリーに加え、マレフィセントが翼を盗まれてからの苦悩を描く。

Once Upon A Dream / LANA DEL REY

「Once Upon A Dream」自体は、彼女が制作した曲ではないが、声のみで彼女の存在感をこれほど味わえるのは、彼女の持つ響く低音と、その歌声に秘められた想いに、みな惹きつけられるのかもしれない。

I know you, that look in your eyes is so familiar a gleam
And I know it’s true that visions are seldom what they seem

知らない人じゃない その目の表情や輝きが とても懐かしく思えるの
わかってる 世の中には 見た目どおりのことなんて 本当はほとんどないってことは

Once Upon A Dream / LANA DEL REY

I Can Fly /「Big Eyes / ビッグ・アイズ」(2014)

奇才ティム・バートンがエイミー・アダムスを主演に実話を映画化。実在のマーガレット・キーンの時代と絵をめぐる闘いを描く。1960年代に世界中でヒットした“大きな瞳”の子供たちの絵。夫のウォルターの作品として世に売れたこの絵は、妻マーガレットが描いていた。女性画家としての苦労や、家族との問題を描く。ティム・バートンの手にかかった、ちょっと不思議なEyesにも注目。

I Can Fly / LANA DEL REY

女性画家として夫や世間と戦う中でも、自身の確立へと心を持ち続ける、未来の明るさがうかがえる。繊細で傷つきやすい部分と、希望に向かう強さを兼ねる女性らしさを歌っているようにも感じ取れる。

I had a dream that I was fine
I wasn’t crazy, I was divine

夢を見ている時は 自分は大丈夫なんだって そんな風に思ってた
どうかしてるわけでもないし 素晴らしい人間だって

I Can Fly / LANA DEL REY

歌詞和訳出典:およげ!対訳くん

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出典:lanadelrey.com/

自身のジャンルを“ハリウッド・ポップ/サッドコア”と定義する彼女の音楽は、誰かの心に、必ず響くものがあるだろう。誰かがいるこの世界で、いかに人間らしく自分を生きられるか。
彼女の人生は、彼女の音楽を聴くことでわかる。声であり、美貌であり、存在であり、言葉であり…。彼女の人生そのものが彼女のカルチャーとなって、今後も影響を与え続けることだろう。稀代のアーティスト・「LANA DEL REY / ラナ・デル・レイ」に、不安はない。

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