瞳で演じた偉大な俳優、名優「ロビン・ウィリアムズ」の主演作を今だから観る

出典:ABC Owned Television Stations

今から1年前、1人の偉大な俳優がこの世を去りました。
優しい笑顔と純粋な瞳。彼が出演する作品はどれも生きる意味、喜びを教えてくれる様なものばかりでした。
いつの時代でも私たちの心を揺さぶり、人生の素晴らしさを説いてきた彼が自ら命を絶ってしまったのが、2014年8月11日。

名優「ロビン・ウィリアムズ」。

そんな名優をいつまでも忘れないためにも今回は、ロビンが数多く出演した作品から主演を務めた、心揺さぶられる名作をご紹介致します。

ガープの世界 / The World According to Garp

The World According to Garp

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~普通の人生とはなんなのか。小説家、ガープの生涯を通して垣間見るガープにとっての普通の人生とは~

結婚には興味がなかったがどうしても子供が欲しかった看護師のジェニー(グレン・クローズ)。彼女は寝たきりの負傷兵を見て、とんでもない名案を思いつく。
そんなジェニーの元、奇妙な出生を背景に誕生したのが、ガープ(ロビン・ウィリアムズ)だった。
少年ガープは母親ジェニーからの「死ぬ前にしっかり生きなさい」「生きて行くって素敵な冒険」の言葉通り、自分の気持ちに素直に、そして自由に成長して行くのだった。
大人になったガープは夢であった小説家へ。そして母親も自らの自叙伝「性の容疑者」がベストセラーとなり、女性活動家として注目されるようになる。
自由な人生を歩む一方で、時代の流れ・出会う人々によって少しずつ翻弄されて行くガープはどんな人生を送るのか・・。

THE BEATLESの名曲「When I’m sixty-four」と共に映し出される空に舞う赤ちゃんと青空。
作品冒頭から印象深い本作はコミカルで爽やかな印象を与えていく。
そんな爽やかな作りとは裏腹に、どんな奇想天外な事が起きても残酷すぎることも淡々と何事もなく過ぎて行きブラックユーモアも満載だ。登場人物達もあっさりと物事、ブラックユーモアを受け入れていくさまは見ていて面白い。

繰り返し観れば見るほど作り手の意図が分かってくるような、そんな作品になっている。
単なる爽やか映画として見るのか、ブラックユーモアをどこまで理解して見るのかによって楽しみ方、見方が異なる少し大人向けの作品。

いまを生きる / Dead Poets Society

Dead Poets Society

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~自分の人生は自分だけのもの。
その事に如何に早く気づけるか、またはそれを教えてくれる人に出会える事がどれ程大事な事なのか~

全寮制の高校、ウェルトン・アカデミーは規則が厳しい上、優秀な生徒を輩出する事をモットーとする名門校。それ故、生徒達は親から、学校からの期待を背負いながら、プレッシャーと共に日々過ごしていた。
真面目かつ優秀な自分を演じているのに嫌気がさしているのも事実だが、厳しく抑制されている彼らは「所詮は親や学校が敷いたレールを歩む人生だ」と若干10代にして悟ってもいた。
そんな彼らの前に現れた風変わりな教師ジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムズ)。
彼の「教科書なんか破り捨てろ」の言葉は規則で縛られていた生徒達を動揺させるが、彼に惹かれて行く生徒達も増えていく。
ジョン・キーティングと出会った事で生徒達は何を感じ、そして自由を手に入れる事はできるのだろうか・・・。

今、一瞬一瞬を大切にする事。人生は短く、輝く青年時代はもっと短い。だからこそ、今をしっかり生きろと言う事を生徒に伝えようとするキーティング。
「今を精一杯生きろ。」という言葉によって純粋な青年達は自由を見つけようと解放される一方で、若いが故に、自分の道を突き進もうとしたん皮肉な程にも悲惨な結果が待っていたりもする。青春は輝かしいだけではないのだと改めて痛感する。

「君らの歩き方をみつけろ。愚かでも良い」を筆頭に数々の言葉が胸に響く本作はロビン・ウィリアムズを語る上では欠かせない、ロビンの全てが詰まっている作品だ。派手さはないけれど、鑑賞し終わった後に見て良かったと心から思える。追悼の意味を込めて、この機会に是非みてもらいたい。

フィッシャー・キング / The Fisher King

The Fisher King

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~どんなに辛くても互いに必要とする運命の人に出会えば道は開けるのかもしれない。
運命の人とは決して恋人だけとは限らない~

舞台はニューヨーク。
かつては人気ラジオDJだったジャック(ジェフ・ブリッジズ)は自分の招いた出来事をきっかけに昔の栄光はなくなり今ではすっかり人生のどん底にいた。ある夜、少年達に襲われ、ピンチに陥っていたジャックを救ったのは軽妙な口調、風変わりな風貌のホームレス、パリー(ロビン・ウィリアムズ)だった。                                                 パリーみたいな頭のおかしそうなやつとは関わりたくないと思うジャック。
しかし彼ら2人は互いに悲しい過去を持ち、孤独に苛まれ生きていた。偶然かそれとも必然なのか、一見対照的で人生において交わるはずのなかった2人の男達の間に次第に友情が芽生えて行く・・・。

本作で描かれる2人の男達。
ジャックはぶっきらぼうで冷静かつ物事に関して悲観的。一方パリーはコミカルで、まるで夢見がちの様で奇妙な男として描かれている。
けれど、お互い孤独で、本当は誰かと分かち合いだけなのだ。
NYという輝く都市だからこそ、より一層彼らの孤独が際立って見えるのも本作のポイントでもある。
孤独な男達を通じて描かれる自由な街、NY。そんな孤独を背負う2人の闇とは、パリーの悲しい過去とは一体なんなのか。明るく振る舞っている人こそ大きな悲しみを背負っているのかもしれない。悲しみの度合いは人によって違うけれど、明るくいる事で本音を隠しているパリーには共感すると同時に切ない感情が込み上げてくる。

切ない感情を抱きつつも、NY最大の駅の一つ、グランドセントラル駅で大勢の人々がワルツを優雅に踊るシーン、そして夜のセントラルパークで2人の友情を象徴したかのような解放感に満ちた清々しいラストは思わず心が晴々する。

ジャック / Jack

Jack

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~人生、悲しんでいる時間はもったいない。
充実した人生とは自分次第で切り開ける~

パウエル夫妻(ブライアン・カーウィン、ダイアン・レイン)待望の第一子、ジャック(ロビン・ウィリアムズ)は通常の4倍の速さで成長してしまう難病を抱えて産まれてきた。
優しい父と母のおかげで明るく成長して行く少年ジャックは、10歳になり小学校に通いたいと思い始め、見た目が40歳の少年の学園生活がスタートする。

「10年後、何になりたい?」

そんな課題がある日学校で出される事に。クラスメイト達がそれぞれ自分の将来に希望を持っている中、ジャックの夢は「生きていたい」ただそれだけであった。
友達にとっては当たり前の日常がジャックにとっては切実な願い。
生きることは当たり前ではない。
まだ10歳のジャックには辛く重い現実だった。果たしてジャックは自分の人生をどう歩んで行こうとするのだろうか・・・。

本作の1番の見所はなんと言っても中年ロビンが少年を演じている点だ。
見た目は40歳の中年であるにも関わらず中身は通常の10歳よりもはるかに純粋な少年である。
そんなギャップを見事に演じきっているロビン・ウィリアムズ。
元々、コミカルな演技を得意とし、尚且つ純粋で優しい瞳を持っている彼だからこそできた役かもしれない。

最初から最後まで一貫して描かれる生と死の問題。
そのテーマを決して重たく感じさせる事なく、ジャック持ち前の明るさで映画が進む中、時折見せるジャックの悲しい表情には思わず胸が痛くなる。短い人生だと悟っている彼だからこそ、彼らしい生き方がある。そんな少年ジャックから生きることへの意味を学べる作品だ。

ストーカー / One Hour Photo

One Hour Photo

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~愛し愛される事は美しい。けれど、時として愛は恐怖にもなり得る。
どんな出来事も紙一重で恐ろしいものへと変化してしまうのかもしれない。
ロビン・ウィリアムズの悲しくも恐ろしい、怪演に目を奪われる~

町の写真現像ショップで働くサイ(ロビン・ウィリアムズ)は物腰も穏やかで働きぶりの良い店員だった。
優しい笑顔に親しみやすい雰囲気の彼ではあったがどこか淋しげで孤独を感じる男でもある。
一見、街の優しい写真屋のおじさんに見える彼には、恐ろしい秘密があった。
常連客のニーナ(コニー・ニールセン)とその息子ジェイク(ディラン・スミス)に執拗以上に固執し、自分もその家族の一員であるかのような妄想に取り憑かれていた。
エスカレートして行く彼の行動、そしてその家族はどうなっていくのか・・・。

サイは確かに、行き過ぎた妄想、行動により、明らかに恐怖を感じさせる人物として描かれるが彼はあくまでも、ジェイクの優しい叔父であり、幸せな家族の一員だと思いこんでいるだけである。
その家族の写真を眺める彼は幸福に包まれ、表情も柔らかく恐怖のかけらもない。
彼にとっては写真の家族と共に楽しい人生を送っているだけにすぎないのだった。
彼には妄想の自分こそ憧れであり、輝かしい人生そのものなのだ。

本作のタイトルは邦題では「ストーカー」であるのに対して原題は「One Hour Photo」といった全く別物のような点にも注目したいポイントだ。「ストーカー」というタイトルからは本作のサイの恐ろしい部分を、そして「One Hour Photo」では単に写真の家族を心から愛しているサイを感じさせる。

どこか淋しげで優しい雰囲気と恐怖を持ち合わすサイ。そしてまるで異なるタイトルの二面性。
単に恐怖の人物ではなく、タイトル通り二面性も演じきったロビン・ウィリアムズ。
優しい雰囲気に、どこか淋しげといった独特な雰囲気を演じるのがこの上なく上手い彼。
怖い作品としての認識だけでなく、ロビン演じるサイの二面性も踏まえて鑑賞してもらいたい。

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今回ご紹介したロビン・ウィリアムズ作品はいかがでしたでしょうか??
元々はスタンダップ・コメディアンとして活躍をしていた彼ならではの得意な軽妙なトークが炸裂する作品を含め、基本的にはどこか哀愁漂う印象深いものばかり。
もう今後、彼の新作に出会うことはありませんが、過去の素敵な作品を改めて鑑賞してみてはいかがでしょうか?

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