ピアノロックバンド『SHE’S』をご存知だろうか。結成以後、「閃光ライオット2012」のファイナリストに選ばれ頭角を現し、これまで3枚のミニアルバムをリリースしている新進気鋭のバンドだ。きらびやかで壮大なスケールの楽曲は聴くものを掴んで離さず、今年要注目のアーティストとして数々のメディアでも取り上げられている。
今回はSHE’Sのフロントマンである井上竜馬に、SHE’S結成にも関わる「ルーツとなるバンドの数々」を聞いた。
SHE’S井上竜馬トーク
SHE’Sの井上竜馬です。
僕の音楽のルーツは元を辿ればクラシックピアノになるのですが、ロックバンドとの出会いは小学生5.6年生の頃。母親がJUDY AND MARYやBUMP OF CHICKENを車のカーステレオで流しているのをぼんやりと聞いていました。
中学1年生の頃に兄の影響でGreen Dayを知り、これが洋楽との出会いで、僕はここから洋楽志向になりました。学生時代はロックバンド一筋で音楽を聴き漁ることになりますが、根底にはクラシック音楽の世界の、音を全身に浴びて鳥肌が立ち、言葉を発せなくなるようなドラマチックさやエモーショナルさというのは今も僕が作り出したい音楽観の1つです。
今回は今僕が生み出す音楽の元になっているバンドを、出会った順に、丁寧なのか雑なのかよくわからない感じで紹介したいと思います。
ELLEGARDEN:エルレガーデン
出典:seoulnavi
現the HIATUS / MONOEYESのフロントマン細美武士さんが核となっているバンドですね。僕らの世代は多分ど真ん中だと思うんですけど、中学1年生の頃に出会い人生が変わりました。「バンドをやりたい!」と言い出したキッカケになった人たちで、僕が何かを選択する時にはいつもこの音楽がありました。
メロディ、歌詞、そしてその2つが合わさった時の耳馴染みの良さなど全てに置いて最高の一言です。中3の時、エルレのコピバンを組んでギター弾いてました。その時歌うのは嫌で、ギター。この時の井上は「ピアノ?!もういいよ!!ギターギター!!」って言ってました。タイムマシンがあったらあの頃の僕を殴り込みに行きたい。
細美さんの生き方にも惚れ込んでいて、人間力が少なからず音楽力に繋がると確信したのもこの人を見てから。恐らくお爺さんになっても聴いてるバンドだと断言できる大切な音楽です。ライブがまた最高にかっこいいんですよ。
Weezer:ウィーザー
1992年アメリカ・ロスで結成されたパワーポップバンド。僕が生まれた年に結成してて、今もまだやってるって冷静に考えて凄いですよね。パワーポップバンド、にピンと来ない方はまず聴いてみて下さい。
前述したELLEGARDENの細美さんが好きな音楽を辿ろうとした時に調べていくと見つけたバンドで、出会いは「BLUE ALBUM」から。それと「GREEN ALBUM」ほどに初期衝動感が露骨に出ている作品は中々ないなあと思います。
「どうにかしたいんだよ、でもどうすりゃいい。こんなこと言ってるだけじゃ仕方ないのはわかってる、わかってるけどどうしようもなくて叫んでるんだよ」って言われてるような、泥臭くて人間っぽい生々しい音と言葉。涙流しながら取っ組み合いの喧嘩するような、むさ苦しくて、暑苦しくて真っ直ぐな青春。Vo.のリヴァース・クオモに憧れてSGギターを買ったくらい影響を受けました。
そして縁とは不思議だなあと思うのが、僕らSHE’Sの1st.2nd mini albumはBLUE ALBUMというレーベルからリリースしてるという…。創設者が同じくWeezerのそれが好きで名付けたらしい。やっぱり音楽好きはどっかで繋がるように出来てあるみたいですね。
Say It Ain’t So / Weezer
Mae:メイ
出典:rockdirt.com
アメリカで2001年に結成され2010年に解散後。その後、復活宣言をして人々を沸かせたにも関わらず、来日公演も延期になり華麗にシカト決め込んでるバンドです。(そんな所も最早最高に好き。)
何を隠そうSHE’Sが生まれたキッカケのバンド。一番好きなバンドは?と聞かれるといつも真っ先にMae(メイ)を挙げています。マエじゃないですよ。そう、僕も知った当初はドヤ顔で「なあお前、マエ知ってる?」と粋り立ってたクチです。本当にタイムマシンがあるなら殴り込みに行きたい。オマエとマエで韻を踏んでる場合じゃないよ!!
高校2年生の時にアルバム「THE EVERGLOW」を聴いて、延々とリピートしていました。初めてバンドで「世界観に吸い込まれる」という感覚を覚えた美しいメロディを持つバンドです。何より各々のパート全てが”歌っている”こと。音の調べという言葉が似合い、音が踊ってるという表現がしっくりくる。「THE EVERGLOW」においては曲間の流れ含め全曲申し分ない仕上がりでお手上げです。こんなに拘ってるアルバムも中々にないです。
多分この曲聴いただけで何かしらの形で影響受けてるのが感じられると思います。パクっちゃいない。決してパクリではない。信じてくれ。
Suspension / Mae
Jack’s Mannequin:ジャックス・マネキン
出典:answers.com
2004年アメリカ・カルフォルニア州で結成され2012年まで活躍したピアノエモバンド。
Vo:ANDREWの前身バンドSomething Corporateから知りましたが、特に好きで聴いていたのはこちらのバンド。最初はANDREWのソロプロジェクトとして始まったけど、バンドメンバー固定だしでしっかり名前書いてるしで、完全にバンドです。そして1人もジャックという名前のメンバーがいない!!SHE’Sなのに男しかいない僕たちと通じるものを感じます。詐欺と言うでない。
この曲のメロディが格別にキラキラしていて太陽の光を浴びるような高揚感を感じたのを覚えています。ピアノ弾きとしても憧れるライブでのパフォーマンスも必見。暗い曲も明るい曲もメロディにポップネスを感じられるというか、何歌ってもこの声じゃ嫌でも耳について離れない。
そしてこのバンドを解散した後始めたANDREWのソロのアルバムもメロディ・サウンド共にブラッシュアップされてて最高にハッピーなのでそちらもオススメです。でもきちんとエモーショナルな部分が残りまくってるのが完璧。
リンクの曲を気に入った人は是非とも「Everything in transit」のアルバムを聴いてください。超名盤です。
Dark Blue / Jack’s Mannequin
Coldplay:コールドプレイ
出典:RO69
1997年イギリス・ロンドンで結成された世界的ロックバンドです。
SHE’Sを始めてから深く聴くようになったのですが、業界の方々が僕たちの曲を聴くと皆口を揃えて「Coldplay好きだよね?」と仰ります。そりゃ、もう、好きですよ。だって凄いんだもの!!(雑)
何よりもサウンドスケープの壮大さが異常ですよね。「Parachutes:パラシューツ」までのアルバムと、「Viva La Vida:美しき生命」のアルバムからとでは、Coldplayの在り方が少し違っているような気がしています。
僕は歌のメロディがキャッチーなバンドが好きで、そうじゃないとダメじゃないか?と考えていましたが、Coldplayに出会ってからはその考えは見事に打ち砕かれました。
決してメロディが良くないバンドという意味ではなく、その他の面で全てキャッチーを抑え込んでいるし、何よりどんどんバンドとしての新しい音楽を生み出していくカリスマ性を見せつけられたら、「そりゃあ売れますわ(鼻ホジホジ)」ってなりますよね。
PVでなくこのライブ映像を選んだ理由は単純にこのスケールを見て欲しい。世界ってすげえ、音楽ってすげえ!と思わされます。Coldplayには是非ともこれ以上新しいサウンドを生み出すのを辞めてもらいたいです。もっと若手にチャンスくださァイ!!!(白目)
僕らの「Night Owl」という曲の世界観はColdplayの影響を受けています。あの合唱やりたくて作ったと言っても過言ではないです。いや、ちょっと過言かも。
Charlie Brown / Coldplay
Night Owl / SHE’S
井上竜馬’s Favorite Things
読書
作詞曲において僕にとって欠かせない映画と本。
最初は詞に言葉が直接影響受けちゃうかな、と怖くて読書は全くしなかったのですが、去年から心を変えて読み始め、今では大事なライフワークの1つです。
一番最近読んだのは三浦しをんさんの”光”という本。これ、どぎついだろうなあと思いながらレジに向かったわけですが、見事にどぎつかったです。当たり前ですが人によって光が何なのか違うし、そもそも光って何?って思考に苛まれる一冊ですが、ハッピーエンドじゃなくて心底よかったなと思います。
最後まで読み終えて「やられた…1本……いや7本くらい取られた…」と思うくらい抜かりのない作品でした。ネタバレするのは避けたいので、是非気になれば読んでみてください。光が必ずしも良いものとは限らないんですよね。
コレクト
出典:kloka.com
ちょっと前まではコレクターの友達を見ると「なんだこいつ……え?いる?こんなに集めて、それいる?どうせ捨てるよね?」と理解出来ぬ極み男子。な僕でしたが、気づいたら知らない間にコレクトしてる物がありましたこの話をする前に一旦全力で土下座させてください。
僕がコレクトしているのは、ショップカード。好きな珈琲屋、カフェ、服屋さんなどのお気に入りのショップのカードを「もう一度行きたいな」と思った店のものだけ集めています。
それを1つの場所に保管して、どこか無計画で出掛ける前に見て、「あ、もう一度ここに行きたい」となったり出来ますから。好きなものに囲まれる生活と言うのは本当に心に健康的で、丁寧に暮らしをする為の重要な1つの要素だと思ってます。
それが僕にとってはショップカード。どうせ捨てるでしょ(笑)とか言わないで下さい。土下座はまだできますよ?
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真面目なのかふざけてるのかわからないテンションと文章でお送りしましたが、いかがでしたでしょうか。気になってくれたら嬉しいです。
”好きな人”が好きな「人(や物)」を辿るってとても楽しくて素敵な出会いが待っているものだと思います。僕たちを知らずにこの記事を見て頂いた方には是非ともSHE’Sの音楽も聴いて頂きたいなと思います。文章とは裏腹に割と真面目に音楽を作っていますので…。
これからもこんな風に何事もいちいち楽しみながら、みんなで共有しながら、紹介したような大きなバンドになっていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願い致します。ではまたライブ会場で会いましょう!
Curtain Call / SHE’S
SHE’S
[L→R] Dr.木村雅人 / Vo.井上竜馬 / Ba.広瀬臣吾 / Gt.服部栞汰
2011年4月、井上竜馬(Key/Vo.)を中心に結成。
2012年、SONY FM TOKYO主催「閃光ライオット2012」のファイナリストに選出。
2014年1月19日、2nd demo「Voice from distance」をリリース。※現在廃盤
同年、関西テレビ音楽番組「音エモン」4月度エンディングテーマに起用される2014年7月、初の全国流通盤となる1stミニアルバム「WHO IS SHE?」をリリース。
2014年10月、初のワンマンLIVEを東京・大阪共にソールドアウトし大成功に収める。
2015年4月、2ndミニアルバム「WHERE IS SHE?」をリリース。
同年6月、リリースツアーとしてshibuya WWW、心斎橋JANUSにてワンマンLIVEを開催。両日ソールドアウトし大成功に収める。
2015年12月、3rdミニアルバムリリースのプレイベントとして東名阪にて自主企画を開催。
2016年2月3日、待望の3rdミニアルバム「She’ll be fine」のリリース。
3月には全国5ヶ所となる初のワンマンツアーも開催される。
Long Goodbye / SHE’S
Official Media
Official Site:http://she-s.info/
Official twitter:https://twitter.com/SHE_S_official_
SHE’S井上竜馬ブログ
https://ameblo.jp/wargame-of-us/
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