リアルなプロダクトを製造する上で苦労した点
何を加えるかよりも何を削るか、ということを大事にするということだと思います。より良いプロダクトをつくろうとするとどうしても、あれもこれも入れてしまいたいとなってしまいますが、できることは限られています。また機能をつければつけるほど仕組みが複雑で難しく高価になっていきます。なのでなるべく簡単でシンプルになるように設定しました。徹底的にシンプルにする、ということを考えました。
– Bluetoothで8万台経由する落とし物が探せるというのは、落とし物を探す時のインフラになるという夢があると思いますが、どのような戦略で実現していくのでしょうか。
もちろんMAMORIOを使ってもらっているユーザーを増やしていくのが一番の方法ですが、より効率よくネットワークを広げるための施策も検討しています。
実は落し物の多くは飲食店や商業施設や交通機関で拾得されています。道端にポツンと落ちたままというのはあまりないのです。落し物が多くの場合見つからないのは、どこかで保管されているのだけえれどもそれがわからなくて行き違いになってしまっているということが大変です。なので、例えば落し物や忘れ物が集積されるような場所に優先的にカバーして、エリアやスポットを中心的にトラッキングができるように、展開をしていきたいと考えています。
後は、SDKによる既存アプリを通じたユーザーの拡大も検討しています。
例えば、ナビアプリとか、災害情報などMAMORIOと親和性が高く、位置情報に基づくサービスを提供しているアプリ企業と提携して、既存アプリにMAMORIOのアプリの機能を付加することができないかといったことを考えています。ユーザーは多くいるが、アプリでは中々マネタイズできないという企業様に向けて、MAMORIOというデバイスを通じてマネタイズ手段を提供し、利用者もアプリ以上の価値を提供できる、そういうことができないかと考えています。
コワーキングスペースを設立した意図
たまたま運が良かったという経緯もあるのですが、コワーキングスペースがある上野・御徒町エリアは秋葉原にも近く、様々な専門店街に加えて、小さな工場群が多くあり、小さなものづくりには最適なエリアです。
ものづくりはインターネットと違って、目に見えない知見やノウハウの積み重ねでできています。互いに日常的に仕事をしている中で、ふとしたことやちょっとしたキッカケでそれぞれのノウハウや知見が共有され、互いのサービスやプロダクトがより良く成長していく、そんな場所をつくることができないか、と思い設立しました。
落とし物.com、コワーキングスペースの今後の展望
落し物ドットコムは、「なくすを、なくす。」というビジョン実現のために、MAMORIOだけでなくいそれらを応用した様々なサービスや製品を展開していきたいと思っています。そのために常に新しいノウハウや経験が共有していく必要があります。コワーキングスペースのGEEK GARAGEは自分たちの知見を共有したり、あるいは僕達も教えてもらったり、そういうインターネット、それからIoTに興味がある人が集まる「共同体」をつくりたいと思っています。
増木さんが影響を受けた書籍を3つと理由を教えてください
何のために働くのか
スタートアップやベンチャーというと何億もの投資で大金が動いたりといった華々しいイメージがありますが、そういったお金ややりがいだけではなく、天命で働くという発想はとても参考になりました。また、中国古典から導き出される人徳という概念については、組織のトップとして働く上で学ぶ所がおおいにあります。
一冊の手帳で夢は必ずかなう
熊谷さん自身の体験と実績に裏付けられた、手帳の使い方は大変勉強になります。忙しかったり、うまくいかないときはどうしても、自分の人生の目標やなすべきことを見失ってしまいますが、手帳に自分の夢や目標を記載すると辛いときでも頑張ろう、という気になります。
ゼロ秒思考
頭の中でモヤモヤしで悩んでしまいがちなときに、メモ書きというやり方を通じて、物事をしっかりと考え、答えをだせるようになります。迷ったらメモ書きをするという習慣をつけることでいろいろなことがシンプルに考えられるようになりました。
Information
落とし物ドットコム:http://otoshimono.com/
MAMORIO : http://mamorio.jp/
編集後記
若干27歳の増木氏。なくすを、なくすというコンセプトは、勿論日本に留まらない。
世界中の人が「MAMORIO」やこれから出るかもしれないプロダクトを持ち、『SECOMが防犯のインフラになったように、落とし物をした時に助けてくれるインフラになる』という話になった。
自分が愛着を持って使用していたものが無くなるのは悲しい。しかし、増木氏の手がけるプロダクトによって落とし物が返ってくることが当たり前の未来が来るかもしれない。そういう未来に期待したい。
Text/Interview : Makoto Tanaka
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