ミスチル、バンプ、ユニゾン、けいおん!…『the pillows』が今なお影響を与えている理由とは?

昨年結成25周年を迎えたバンド、the pillowsをご存知だろうか。1989年に結成、1991年にデビューし、今も活動を続けているスリーピースバンドだ。メンバーはファンのことを「LITTLE BUSTERS」という曲名から「BUSTERS」(バスターズ)と呼んでおり、その「BUSTERS」は老若男女を問わず増えている。
彼らの影響は音楽だけでなく、アニメや漫画といった分野にまで及ぶ。その影響について、楽曲を交え紹介したい。

the pillows 武道館

異端の存在でも生きていく / ストレンジカメレオン

シンクロナイズド・ロッカーズ
出典:http://pillows.jp/p/

the pillowsがこれまでに歩んできた道は決して平坦なものではなかった。自身の理想と世間のギャップ、メンバーの脱退、レコード会社の移籍と紆余曲折を経て今がある。

売れるための大衆的な音楽を求められた彼らは、自身のことを「ストレンジカメレオン」の歌詞で”周りの色に馴染まない出来損ないのカメレオン”と例えた。同時に、”拍手は一人分でいいのさ それは君の事だよ”と、たとえ異端視されていても振り向いてくれる人のためにやりたい音楽を続けていく、という決意表明を行った。結果的にこの「ストレンジカメレオン」は人々の注目を集め、バンドの大きな転機に繋がることとなる。

そしてthe pillows結成15周年を迎えた2004年にリリースされた1枚目のトリビュートアルバム、「SYNCHRONIZED ROCKERS」ではMr.Childrenがこの楽曲をカバーした。ボーカルの桜井和寿はこの楽曲を「生涯で傑作を10曲挙げるとすれば間違い無く入る曲」と公言しており、BankBandとしてもカバーを行っている。

一方でthe pillowsはMr.Childrenの楽曲である「つよがり」をカバーした。この2組のバンドはお互いに対してだけでなく、後のバンドにも大きな印象を残している。

夢に向かって歩き出す勇気 / Funny Bunny

HAPPY BIVOUAC
出典:http://pillows.jp/p/

人気のある楽曲として、「Funny Bunny」にも言及したい。こちらは元々シングルカットされておらず、アルバムの収録曲だった。それがトリビュートアルバムにてELLEGARDENがカバーしたことをきっかけに、the pillowsの代表曲となった。ELLEGARDENのギター&ボーカル、細美武士はこの曲を選んだ理由について、「何日も悩み抜いた挙げ句、歌詞が大好きなFunny Bunnyをカバーさせてもらいました」とコメントしている。

”キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ

風の強い日を選んできて 走ってきた”

“飛べなくても不安じゃない 地面は続いているんだ

好きな場所へ行こう 君ならそれができる”

ふと立ち止まってしまった時、この歌がそっと背中を押してくれる。

この楽曲は以前、週刊少年ジャンプで連載されていた『SKET DANCE』という作品に登場して話題となった。夢を追ううちに自信を失ってしまった女の子に、主人公が学園祭で演奏するのはこの「Funny Bunny」。このエピソードをきっかけに、the pillowsは漫画の読者に存在を知られるようになった。

海を越えたthe pillows / ハイブリッドレインボウ

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出典:http://www.gainax.co.jp/anime/flcl/

その他にもthe pillowsと音楽以外のカルチャーとの関わりは深い。

それがきっかけとなり、the pillowsは海外から支持されているバンドでもある。海外でも放送された国内のアニメ作品、『フリクリ』の主題歌と多数の挿入歌を担当したことが大きな理由だ。この『フリクリ』は『新世紀エヴァンゲリオン』でも知られるアニメ製作会社、ガイナックスの作品であり、スピード感溢れるストーリー展開とバトルシーンの演出が高く評価されている。

彼らは『フリクリ』による人気から海外でのライブ出演を果たしており、収録曲が全てthe pillowsのものである3枚目のサウンドトラックは日米で同時発売された。

挿入歌の「ハイブリッドレインボウ」は、かつてBUMP OF CHICKENがトリビュートアルバムでカバーしている。the pillowsのライブでも演奏されることが多く、憂いを含んだ歌い出しからサビで一気に加速する展開に思わず釘付けになってしまう1曲だ。たとえ自分たちが選ばれない運命にあったとしても、希望を失わずに信じ続けようとする歌詞が聴く人の心を熱くする。

一気に近づいた「アニメ・漫画 / 音楽」の距離

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出典:http://anime-jyouhou.com/

『フリクリ』に限らず、その他のアニメや漫画にthe pillowsが与えた影響は大きい。以前はアニメや漫画とロックンロールには大きな隔たりがあった。しかし彼らの楽曲に心を動かされたクリエイター達が、作品にその影響を色濃く出すことで溝は徐々に埋まっていったように思う。それは、彼らの「諦めない強さ」がクリエイター達に響いたためなのではないだろうか。売れるためのものを作るのではなく、周りに合わせない、自身の信念を貫き通した彼らだからこそ、作品を作り出す際の迷いや苦しみを晴らしてくれるのかもしれない。

放送が終了した今も根強い人気のある、軽音楽部を舞台としたアニメの『けいおん!』。Vo,Gtの山中さわおが元ネタとされるキャラクター、山中さわ子が登場する。主人公達の所属する軽音楽部の顧問であり、バンド名「放課後ティータイム」の名付け親でもある重要な役だ。

その他、主人公が世界を守る戦いに身を投じるファンタジー漫画、『惑星のさみだれ』では世界設定に楽曲のタイトルがモチーフになっている。地球を打ち砕こうとする敵として「ビスケットハンマー」、主人公の能力名として「バビロン」と重要なアイテムとして「ブルース・ドライブ・モンスター」が登場する。the pillowsを知ったうえで読むと更に楽しめる作品だ。

これからも走り続けるthe pillows

ROCK & SYMPATHY tribute to the pillows ダイジェスト

今年で結成26年目のthe pillows。昨年発売された2作目のトリビュートアルバムには、UNISON SQUARE GARDENや9mm Parabellum Bulletなど、今の邦楽ロックシーンを牽引する若いバンド達が参加した。

このトリビュートアルバム1曲目はWHITE ASHによる「WHITE ASH」だ。彼らのバンド名は言わずもがなこの楽曲名が由来であり、ライブ時の登場時にもこの楽曲を使用している。畳み掛けるような勢いと熱さを1分50秒というコンパクトな時間に詰め込んだ「WHITE ASH」はこのトリビュートアルバムの幕開けを飾るのに相応しい。

UNISON SQUARE GARDENは自主企画イベントにthe pillowsをゲストとして呼んでいる。今もなおthe pillowsは第一線で活躍しており、若いバンドからの支持は熱い。決して彼らの魅力が色褪せるなんてことは、きっとこれからも無いのだろう。妥協することなくロックンロールを鳴らし続けるthe pillowsはこれからもずっと変わらないはずだ。

12月から始まるツアーで更に輝きを増すであろう、彼らの姿から目が離せない。

Live Schedule

the pillows TOUR 2015 “LOSTMAN GO TO CITY”

2015年12月4日(金) 新潟 GOLDENPIGS RED STAGE
2015年12月8日(火) 渋谷 CLUB QUATTRO
2015年12月11日(金) 仙台 Rensa
2015年12月13日(日) 札幌 PENNY LANE 24
2015年12月16日(水) 名古屋 DIAMOND HALL
2015年12月18日(金) 広島 CLUB QUATTRO
2015年12月20日(日) 福岡 DRUM LOGOS
2015年12月22日(火) 大阪 なんば Hatch
2015年12月26日(土) 東京 TOYOSU PIT

チケット一般発売日:10月24日(土)10:00~

関連リンク

the pillows Official Site:http://pillows.jp/p/
the pillows Official Twitter:https://twitter.com/thepillowsjpn

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