【CHRONICLE】結成20周年を迎えるくるり、20代最後のアルバム『NIKKI』に記したメッセージとは?

くるり_prof

くるりほど音楽に柔軟なロックバンドはいないのではないだろうか。また、アルバム毎に作風が異なり、様々な表情を見せるため私たちを飽きさせないロックバンドでもある。

くるり_prof

その中でも私はメンバーが29歳だった2005年に注目したい。くるりが原点回帰を目指したアルバム、『NIKKI』が発売された大きな年である。

BIRTHDAY / くるり

BIRTHDAY

出典:http://www.quruli.net

前年に発売したアルバム、『アンテナ』はそれまでの集大成とも言えるようなストレートなロックアルバムだった。くるりの活動期間では第5期とされる2005年、メンバーは岸田繁、佐藤征史、大村達身の3人に。

そんな2005年の1月、くるりは14枚目のシングルである「BIRTHDAY」を発売した。私はこのシングルをもってくるりが、ビートルズを代表とする60年代のブリティッシュなサウンドに向かう決意表明をしたように思えた。
誰しもが持つ生まれた日について、どこか懐かしさを感じさせるメロディーに乗せて歌い上げるこの曲は、シンプルながらも心をギュッと掴んで離さない。

初花凛々 / SINGER SONGER

初花凛々

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くるり以外の活動として、岸田と佐藤はシンガーソングライターのCoccoと共にバンド、SINGER SONGERを結成。
5月にシングル『初花凛々』、6月にアルバム『ばらいろポップ』をリリースする。作詞、作曲はくるりの2人ではないが、是非とも聴いていただきたい。Coccoの透き通る歌声と、くるりの持つ温かさが化学反応を起こした明るく、晴れやかな楽曲になっている。

Coccoといえば、凛とした表情で孤独や痛みを歌うイメージが強いだろう。しかし、ジャケット写真の彼女は笑顔だ。温かさを持つくるりとのタッグだったからこそ、この『初花凛々』は輝きに満ちているのだ。

Superstar / くるり

Superstar

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夏になり、くるりは様々なロックフェスに出演。この年、フジロック・フェスティバルにて最大ステージ、グリーンステージへの出演も果たしている。
そして8月に15枚目のシングル『Superstar』を発売。3ヶ月リリースの第1弾となった。
この楽曲の歌詞は岸田の選ぶ言葉のセンスが光っている。

”さりげない夏のいたずらが あなたの帽子をさらってく
恋のかけらが宙に舞う”

情景と共に気持ちを描写する歌詞が素晴らしい。
夏が終わってしまうことで心に空いた穴を、そっと埋めてくれる1曲だ。

赤い電車 / くるり

赤い電車

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続く9月にリリースされた16枚目のシングル『赤い電車』は、3ヶ月リリースの第2弾であり、京浜急行のコマーシャルソング。専門誌に連載を持つほどの鉄道好きである岸田が依頼を快諾し、書き下ろされた。
現在では電車接近メロディとしても使用されている。

メロディには発車時のモーター音を使用するだけでなく、運転席からの視点を倍速にした映像を元にMVを制作するなど、鉄道愛が詰まった楽曲だ。
また、この京急線のモーター音を岸田は

”赤い電車は  歌い出す
ファソラシ♭ドレミファソー”

と音ではなく歌と表現しているのが興味深い。くるりはこういった遊び心を忘れないロックバンドなのだ。

BABY I LOVE YOU / くるり

BABY I LOVE YOU

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3ヶ月リリースの最後を飾るのは、17枚目のシングル『BABY I LOVE YOU』だ。
甘くてとろけそうな声と、繊細なサウンドが合わさった究極のラブソングと言える。オリコンではくるり史上最高位となる4位にチャートインした。

「愛してる」や「好き」ではなく、「Baby I Love you」とだけ、しかも歌詞に登場するのは3回のみとあっさりしているが、しっかりと寄り添ってくれる素敵なラブソングだ。
声高に愛を叫ぶのではなく、不器用ながらも気持ちを伝えようとする男性の心情が垣間見えて愛おしい。

NIKKI / くるり

NIKKI

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11月、くるりはこの年の締めくくりとして、アルバム『NIKKI』をリリースした。前作から更にノスタルジックなメロディと景色を目指した結果、音楽性とありふれた日常という原点に到達したのではないだろうか。

くるりは誕生日、夏の終わり、電車、愛とありふれた、なんてことのない日常をこのアルバムに記したのだ。日常を描くことで口当たりの良い、ポップな音楽を届けようとしたのだと私は思う。

それにより、聴いた私たちは日常を見つめ、自身を重ね合わせることができた。『NIKKI』は身近で感じられる幸せや愛の詰まった、素晴らしい作品だ。

あなたも是非、この『NIKKI』でくるり流の素直で飾らない、温かい愛を感じて欲しい。

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